世界最古の民間企業は西暦578年創業の大阪の会社、金剛組と言われている。
実に創業1500年近い、寺社建築の実績を誇るこの会社は奈良時代よりも前の飛鳥時代の創業だ。
和菓子の「とらや」は室町時代後期の京都で創業、後陽成天皇の御在位中(1586〜1611)から御所の御用を勤めてきた。明治2年(1869)東京遷都にともない、天皇にお供して京都の店はそのままに東京に移り現在に至る。
日本の企業の歴史は他国を圧倒しており、100年以上の社歴を持つ会社が数多ある。それほど大きな企業でなくても江戸時代以来の伝統を持つ事例は多い。
東京に多い三河屋、駿河屋という屋号の店は徳川とともに今の静岡県や愛知県にルーツを持つ店が江戸に移転し代々引き継がれた由来だろう。
あるいは近江屋は近江商人、伊勢屋は伊勢商人を系譜にしている可能性が大きい。
近江の地は東海道と北國街道が交差し情報と物流の集積地だった。丸紅や伊藤忠、野村證券に高島屋、ふとんの西川などはこの地を起源とする。伊勢もお伊勢参りの参道で人の行き交う地だ。江戸で開花した三井高利から始まる三井グループ、国分などで知られる。ちなみにイオンの起源である岡田屋呉服店はもとをたどれば近江商人だが、その後伊勢街道沿いの四日市に移っている。
地域に根差し、情報のアンテナを張り、そして日本国内はもとより世界へ飛躍していった伝統企業、この日本の企業風土が今後どう変わってゆくか興味深い。