【西村晃の大繁盛の法則】 企業塾 - 顧客満足度No.1


西村晃の伝言板

2024-08-07

<<前の記事 次の記事>>

可部線成功物語

旧国鉄の赤字廃止対象路線でこれほど劇的に変わった線はないかもしれない。

広島の可部線である。

若い頃乗ったが、山奥の三段峡という景勝地までディーゼル列車が走っていた。それが電化され、通勤電車としてよみがえった。沿線の安佐北区・南区あたりがニュータウン開発され人口が大幅に増えて通勤路が必要になったという時代的変化も見逃せない。広島都市圏ネットワークとして位置づけられ最新鋭の電車も投入されていた。



広島発9時3分可部線あき亀山行き。

きれいな電車が広島駅まで通勤通学を運んできた、その折り返し列車に乗るが結構下りも混んでいて6両の座席はほぼ埋まる。電車は短い駅間距離で都会の私鉄並みに停車する。また単線のため行き違いもあり各駅での停車時間は長めだ。



横川で山陽本線と分かれ、可部線に入る。太田川右岸を北上してゆくと沿線にはマンション、そして山の丘陵地には戸建てニュータウンが見えてくる。かつては可部駅から太田川沿いにさらに北上し、景勝地である三段峡までの非電化区間が存在した。また三段峡駅よりさらに北上し島根県浜田市を目指して建設が進められたが、赤字廃止対象路線に挙げられるなど経営状態が芳しくなく、1980年(昭和55年)の国鉄再建法の施行により工事は中止され、2003年可部駅 - 三段峡駅間が廃止された。

一方、可部駅 - あき亀山駅間は2003年に一旦廃止された区間の一部であるが廃止前から電化の要望のあった区間であり2017年(平成29年)3月4日に電化の上で再開業した。これが成功だった。

2008年(平成20年)度の輸送密度は約18,635人、2014年(平成26年)度は19,021人に増加している。輸送密度が1万人を超える地方交通線は珍しい。可部駅 - あき亀山駅間の開業後、可部線の混雑率は年々上昇傾向にあり、2017年度の混雑率が110%であったものが2020年度に続き2021年度には132%とコロナ禍にあってもなお混雑が激しくなっている。

9時52分あき亀山着

とくに何がある駅というわけではなく、すぐに折り返して広島に戻った。

東京近郊と変わらぬ通勤電車が一時は消える運命にあったと思うと、マーケティングのヒントはいろいろあると感じた。