伊豆大島の港町、元町。椿で賑わうこの時期にお洒落なカフェが登場、話題となっている。
海を臨むロケーション、「元町テラス」と名付けた開放的なカフェは旅人を引き付ける魅力にあふれている。天候に左右されず座敷のように使ってもらおうと屋根もつけたが、セーリングヨットで使用されなくなったマストと柱を再利用した。ユニバーサルデザインを取り入れた店舗は年齢や傷害の有無にかかわらず、誰もがくつろげる工夫が施されている。
カフェと言ってもこの「元町テラス」のお薦めは日本茶である。
「急須でお茶を淹れることは、日本独自の文化ですが、昨今この文化が薄れてきていることを実感していました。お茶好きの私はこの文化を絶やしてはいけないと真剣に思っていましたので、オープンテラスでは急須で淹れたお茶を提供する場として、日本茶カフェにすることを決めました。お茶は椿科の植物ですから不思議なご縁を感じています」
このカフェを経営する岡田一郎さんはこう語る。
社業発祥の地である伊豆大島を盛り上げたいという気持ちが岡田さんには人一倍強い。コロナ禍で観光客も激減していただけになんとか地元のために役に立てないかと構想を練ってきた。
そこに東京を中心に製茶販売業を営む「丸山園本店」の井ケ田晋さんとの出会いがあった。
二人は「これからは日本の文化がウリになる時代」という認識で一致、さっそく「元町テラス」の企画を練り始めた。
「日本の文化から生まれた言葉が世界の共通語になることは、クールジャパン戦略の一環として広まっています。『もったいない』、『かわいい』」などの言葉は日本の文化や精神を世界に伝える重要な役割を果たしています。伊豆大島の文化を次世代に繋げる為に、そして日本の文化を世界へと広げるために、伊豆大島を拠点に活動し、島の観光業にも貢献したいと思います」(井ケ田さん)
二人の夢は次第に広がっていった。
「元町テラス」ではお茶請けにフィナンシェを用意した。
「東京白金の八芳園の料理長に大島牛乳と大島バターを使ったレシピを考案していただきました。大島バターの風味豊かであっさりとしたコクが日本茶とよくマッチします。優しい甘みですが1つで大満足のお茶請けに仕上りました」と岡田さんは語る。