テレビのコメンテーターを務める大学教授がこんな話をしていた。
「放送局のディレクターの大半は東京出身で、頭から東京は優れているが、地方は遅れていてかわいそうという先入観を持っていて、地方の先進性をコメントしてもそんなVTRはカットされてしまう」
これに関しては私も同感だ。マスコミでも全国紙とNHKは全国規模で転勤があるが、東京の民放と雑誌社は転勤がなく、東京に生まれ育ち、東京で採用され一生東京で仕事をする人が多いのでモノの見方が偏っていると、私も感じてきた。
基本的な視点が「地方は遅れてかわいそう」なのである。
私は東京生まれ育ちで初めてNHKの初任地福島で暮らし、その後宮崎と合わせて8年地方で暮らした。当時は若くて血気盛んな年齢だったから、地方の刺激のなさに嫌気がさしたこともあった。しかし今思うとあの8年の経験はのちの考え方に大きな影響を与えた貴重なものだったと思っている。
福島に赴任してすぐにローカル紙の社説で「米価を断固上げよ」という見出しに驚いた。東京で読む全国紙は「米価上げるのはけしからん」が常識だったからだ。
なぜ原発を地方は誘致するのか?
どうして地方は保守政治家が強いのか?
新幹線を望む地方の論理とは?
工場誘致に邁進する地方首長の論理とは?・・・・
地方の首長選挙で「NHKのど自慢」を誘致すると公約して当選した首長もいた・・。
オーストリアで買う世界地図は北半球と南半球がひっくり返っているが、東京に軸足を置くか地方に軸足をおくかで世の中の見方はひっくりかえってしまう。
マスコミで働く人間にとってそうしたバランス感覚こそ大切なのだと思う。