北海道真狩村、「まっかりむら」と読む。人口2000人ほど羊蹄山の南麓に位置する農業の村だが、道内の自治体の中でも地味な存在で近隣の洞爺湖温泉やニセコスキー場は広く知られているが、この村が観光で脚光を浴びることもあまりない。しかし洞爺湖サミットの時、首脳夫人たちの午餐会が開かれたレストランの知名度は全国区だ。「マッカリーナ」はいわゆるオーベルジェで宿泊もできるレストランとして人気を集めている。おいしいフレンチにワインは付きものだから、食事の後宿泊ができれば安心だ。
地元の食材をたっぷり使い、工夫を凝らしたメニューは毎回感動を覚える。
ニシンにアワビにヒラメといった魚介類、自家製ハムや道産牛のステーキにコーンやジャガイモとまさに北海道を堪能することができた。
一次産品をどう付加価値をつけて売り込むか、これは全国の地域の課題だ。
地域ブランドをどう高めるかに皆知恵を絞る。素材をそのまま売り込むことに加えて、その素材をどう一流シェフが料理として活かすかも大切な戦略で、「オーベルジュ」の誘致はこれからの自治体が取り組むべき施策だと考える。
「マッカリーナ」の場合、全国から泊りがけで料理を味わいに来るのは概して富裕層であり、情報発信能力旺盛の人たちだ。評判は全国に伝播し、一度は行ってみたい憧れの宿としてメディアでも評価を高めている。自治体のホームページで民間レストランが紹介されているのもあまり例がなく、それだけ地元では「産業」ととらえているということだろう。
限られた日数で北海道を旅行しようと思えば、まずどこに宿泊するかを決めて旅の道筋を決めるはずだ。この時真狩村が宿泊地に選ばれるか否かを考えてほしい。ほかの著名な観光地を差し置いてここに泊まりたいと思わせるのは、この地で味わえる料理ということにならないか。
「マッカリーナ」で味わう料理を通じて地元の食材もブランド価値が認識されると思う。
大型旅館ではないから稼働率も高水準、宿泊付きレストランならスタッフも現地採用で、若者にはお洒落で魅力的な仕事に映るかもしれない。
地元食材をおいしく食べさせるレストランと有名シェフの存在、発信力は地域産品のブランド化に欠かせない。ブランドとは何か、それは食べる前から味・品質がわかることである。
私がこの店に足を運んだのは三回目、もしこのレストランがなければこの地を訪れることはなかったはずだ。