新しい年が明けた。
年があらたまると、テレビでは和服の出演者が目立ち、能や歌舞伎などの番組も顔を出す。郷土の味の雑煮や縁起の良いいわれの食材を集めたおせちを家族で囲む。
たとえ年末の紅白から昭和の香りが消えようと、正月を祝う「和」の気分は令和の時代もなお健在とみたい。
ただ、今年の正月は少し異変があった。
元日営業や三が日営業をやめる小売業が出始めている。外食産業も大みそかと元日を休みにしているところも増えている。
これまでは営業日が増えれば多少なりとも売り上げが増えると考えられてきた。。
だから一日でも営業日を増えせば、前年よりも月間売上高は上がることになる。
サラリーマン店長は前任者より営業成績を上げれば自らの手柄になるから、正月といえども営業日を増やすことを考えたのだろう。
この「右肩上がりの発想」を止めるきっかけになったのがコロナである。
街から人が消える異常事態があれば、うちの売り上げが落ちるのも当たり前、成績が上がらないので俺のせいじゃないコロナが悪いんだ、となれば営業日数を減らしやすいきっかけが生まれたということだ。
コロナのせいでもなんでもいい。
正月早々あくせく働けば、従業員たちの家庭は正月どころではない。
小売業は旬を売る商売だ。
それなのに従業員の家では家族そろって正月を過ごす心のゆとりもなかったのだ。
コロナは社会を変えた。
新しいスタートラインに立ったつもりで、これからの経済に適応するビジネスモデルを作っていこうではないか。
足もとをしっかり見つめ、ポストコロナの時代の船出をする年にしたい。