西村晃の伝言板
2025-03-22
インドでは市街地はもちろん観光地などでもアクセサリーや絵葉書などを売る物売りの子供が多い。蛇遣いがかごからコブラを取り出し、それをカメラに収めようとする観光客がいるとすぐに金をせびる。信号待ちのクルマに近付いて花飾りを売りつける。無料のトイレなのにそこに居ついて手を洗う人にすぐにぺーパーを渡しカネを要求する。どう見ても小学生くらいの子供があちこちでそんなことをしている。
地方では親が学校に通わさず、子供たちに農業をさせている例が大変多いと、秋のツアーのガイドをお願いする予定のラジャーシュ・コチャール氏から聞いた。
「なまじ学校に行かせるとみな都会に出て就職を希望する。インドでは親の将来を子供が面倒見るのが当然と考える社会だから、都会に馴染んで子供が田舎に戻ってこなくなることを警戒しているんです」
その一方で人口比で考えればわずかの高等教育を受けた人は概して優秀だ。特にIT技術者のレベルは世界的で、多くの先端ハイテク企業で活躍しているインド人が多いことはよく知られている。
人工知能(AI)など先端分野での人材を確保するため、日本の文部科学省や東京大学などがインドからの留学生獲得を強化するというニュースが最近も伝えられた。インドの大学院生300人弱の留学費用を支援するほか、現地でリクルート活動を行い、2028年度までに留学生を倍増させる計画だという。理工系に強いインドから人材を受け入れ、日本の研究力や産業競争力の向上につなげるという。
世界で通用するIT技術者を輩出する国で、学校にも通えず農作業や物売りに明け暮れる子供たち。矛盾も感じるが、この矛盾こそやがてこの国の成長のとてつもないエネルギーになるかもしれない。
秋の研修では、インドITの総本山インド工科大学を訪ね、教育の現状を聞くことにしている。