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西村晃の伝言板

2024-10-13

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アナウンサーたちの戦争

アナウンサーたちの戦争



NHKに入局し、その昔和田信賢という名物アナウンサーがいたことを先輩たちに聞いて知った。戦前のスポーツ名アナウンサーは戦争中スポーツ実況がなくなり、戦意高揚の放送を担うことになって自らの立ち位置に悩む。

大本営発表を流し続け結果的に戦争に加担することになったNHKとアナウンサーたちの苦悩は以前「NHKスペシャル」でも取り上げられたが、「劇場版アナウンサーたちの戦争」という映画を観て、テレビ番組以上に知られざる姿に触れ深く考えさせられた。

映画では、アジア各地にNHKが放送局を作り、ニセ情報を流すことで戦況を有利にする工作活動をしていたことが詳しく扱われていた。いまでいうフェイクニュースの先駆けを日本のNHKがしていたわけである。イギリス軍が投降した、とか日本軍は何十万の兵力で上陸、とか南から攻撃する、とかわざとニセ情報を流すことで、敵や地元の民衆を惑わせようとしていたわけだ。負け戦を勝ち戦と報じるだけでなく、軍の手先として真実でない放送を「お国のために」流し続けてきた。また8月15日の玉音放送時にも、それを阻止しようとする反乱兵士たちがNHKを占拠したことも知られている。

 あっという間の2時間弱の映画を観ていろいろ考えた。

フェイクニュースはネットの時代、当時とはくらべものにならないほど巧妙、広範囲に流されている現実とどう向き合うか。

放送局とくにNHKが政府あるいは軍部の干渉を受けやすい立場に置かれている中で、報道機関ではあっても言論機関としての自主性をどこまで貫けるのか。

そこに勤める一人ひとりの職員がジャーナリストとしてのアイデンティティを保つことはできるのか。

先般起きたような国際放送で外国人アナウンサーが局の方針とは異なる言動を放送するようなことが、偶発的な事故にとどまらず組織的テロとして仕組まれる危険性はないのか・・・。



 それにしても私を含めて観客はわずか二人。前橋の映画館はマイナーな映画も上映してくれる貴重な存在である。