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西村晃の伝言板

2026-02-17

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ベトナムに賭けたコブタの戦略

「ブタブタコブタお腹が空いた♪」

私がこどもの頃こんなCMソングでインスタントラーメンの宣伝をしていたのがエースコックである。

日本で最初のインスタントラーメンは、1958年に安藤百福が開発した日清食品の「チキンラーメン」だが、すぐそのあとを追いかけて複数企業がこの業界に参入した。エースコックは1948年創業、即席麺には1959年に参入した老舗メーカーだ。このコマーシャルでも活躍したこぶたのマスコットのキャラクター戦略は大いに貢献した。

1980〜90年代日本の即席麺市場はほぼ飽和状態、競争激しく価格下落が続いていた。日清食品、東洋水産、サンヨー食品という三強が競る中で、エースコックはヒット商品は国内だけでは取り残されがちだった。

エースコックは世界各国に活路を求めて目を付けたのがベトナム市場だった。ベトナムはフォーを食べ、麺に対する親近感はあったが、インフラ未整備、法制度も不透明、為替・物流のリスク、情報も乏しい、と不安な面も多かった。

しかしエースコックは国内でじり貧になるくらいなら未完成な市場で主役になる方がいいとまさに背水の陣でベトナム市場に切り込んでいった。

1986年、ベトナムは市場経済へ転換する「ドイモイ政策」を開始、1990年代に入り、人口増加と都市化が進みホーチミン市などで、安価で保存性の高い即席麺の需要が急拡大していた。当時の人口は約8,000万人で若年人口が多いことにエースコックは賭けた。

1993年ベトナムに現地法人を設立、「現地生産・現地販売」に徹し、価格を抑え、味もベトナム人向けに調整した。代表的商品の「Hảo Hảo(ハオハオ)」は現在では国民食レベルのブランドに成長している。酸味と辛味の絶妙なバランス、ライムを思わせる爽やかさ、赤とピンクの派手なパッケージが特徴で、日本にはないベトナム独自の商品として浸透した。現在エースコックはベトナム即席麺市場 シェア半分近くを占める圧倒的な足場を築いている。エースコックは現地社員を育成し、管理職へも登用、日本式「カイゼン」をベトナム式に翻訳して導入する努力を地道に続けてきた。これが外資ではあるがよそ者ではないという現地の信頼感を醸成した。派手な技術革新ではなく、相手の食文化を尊重し目先の販売よりも地域に根づく相手の食文化を尊重し、目先の販売よりも地域に根づく経営をしたことが成功につながった。