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老後の資金が足りません

新橋演舞場で「喜劇　老後の資金が足りません」を観た。

垣谷美雨の原作小説を読んで満を持しての鑑賞であった。

渡辺えり、室井滋の好演の爆笑喜劇ではあったが、一概に笑ってばかりもいられない今日的問題を観客はまさに自分のこととして受け止めていたようだった。

ひところ老後２０００万円問題というのが話題となったが、定年延長とは言いながら中小企業の経営は厳しく、定年前に退職を余儀なくされるケースも多いし、零細商店が廃業すれば国民年金ではとても暮らせない。

いま40年ぶりの物価上昇に苛まれているが、４０年前の第二次石油危機当時と比べてこの国ははるかに高齢化が進み年金頼みの人が増えている。

政府の賃上げ要請に応えられる経団連などの大企業に勤めている人はともかく、大半の人が勤める中小企業や自営業、第一次産業従事者はこのインフレを乗り切り、老後資金を確保するのは至難の業である。



喜劇に笑わせてもらった後、家路に向かう身に北風は冷たかった。