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西村晃の伝言板

2025-07-06

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豊島区の挑戦

池袋ではいま駅と周辺の開発計画が進む。豊島区の中心池袋の開発の先駆けとなったのは実は区役所の移転計画だった。豊島区役所庁舎は老朽化で建替えが課題となっていたが財政が厳しく庁舎を新たに建設することは困難だった。

 そこで豊島区は池袋駅近くの一等地を再開発しタワマンを建て、その低層階に区役所が賃貸で入る。その家賃は古い庁舎の跡地にビルを建てさせそこからの賃料を流用する、というわけだ。これにより新庁舎は区の財政負担なしで建替えが実現、2015年に開庁した。

実はこの時期豊島区は大きな課題に直面していた。日本創成会議の調査で若年女性(20~39歳の女性)の人口が5万136人(2010年時点)から2040年までに2万4666人に減少(50・8%減)する可能性が指摘され「消滅可能性都市」のリストに東京23区で唯一名を連ねた。若年女性がこのペースで減少すると出生率が減少し、最終的に消滅の可能性がある。

事態を打開するため区は核となる池袋駅周辺の公共空間と住宅環境を整備し子育て支援や安全・安心なまちづくりなどに取り組むため区役所新庁舎を街の再生モデルと位置づけた。

区は「消滅可能性都市緊急対策本部」を設け対策に乗り出す。

●妊娠・出産、子育ての相談にワンストップで対応する「子育てナビゲーター」の設置

●私立保育園の数を2014年から10年間で8倍、待機児童ゼロに

●小学校や中学校の改修に積極的に予算を投じ教育環境を充実

●高齢者施設を児童館と統合した「区民ひろば」という地域コミュニティ施設で、乳幼児や子育て世代、高齢者など幅広い世代の交流を図る

池袋のまちづくりにも取り組む。池袋駅は1日200万人以上が利用するがまちに繰り出す人が少なかった。そこで回遊性を高めるために女性や家族連れが安心して楽しめるよう池袋駅周辺の公園を整備した。

2020年開業の「イケ・サンパーク(としま緑の防災公園)」もその一つ。造幣局跡地に防災公園を建設、資金調達には民間資金を利用して民間に施設整備と公共サービスの提供を委ねた。池袋駅の外に目的地を作り地元の子供たちの遊び場環境を作り合わせて防災拠点とした。