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インバウンド需要は一過性ではない



<コーセー>

長浜 清人 常務

いま日本の化粧品メーカーは、毎月販売先から上がってくるデータにくぎ付けになっている。
「とくに東京都心の百貨店やドラッグストアでの売り上げの急伸にびっくりしています。
外国人観光客のまとめ買いです。
一人で数万円単位で買ってゆくというケースもあります」
こう話すのはコーセーの長浜清人常務取締役だ。

東京銀座のマツモトキヨシ。
とくに二階の化粧品売り場に行くとびっくりする。
売る方も買う方も日本人はほとんど見当たらない。
ここはどこの国かと一瞬わからなくなるくらいの光景だ。

「中でも最も売れているのが、わが社の『雪肌精(せっきせい)』です。
国内では30年前から販売しているロングセラーシリーズで、化粧水の価格が5000円くらいです。
アジア各国の百貨店でも販売していますが、とくに漢字3文字のネーミングが受けて中国では人気でした。
現地の百貨店で買えば6000円前後しますが、これが円安効果もあって日本のドラッグストアでは3500円くらいで手に入るということで、インバウンドのまとめ買いの対象になっています」
(長浜さん)

雪肌精

コーセーとセブンイレブンが共同開発・販売している関連商品「雪肌粋(せっきせい)は価格が安いこともあって、一人で100個単位で買ってゆく人も多く、空港や都心のセブンイレブンでは売り場に並べるそばから商品が消えてゆく状態だという。
コーセーの場合、化粧品の売り上げ構成は日本国内での販売が85%、そして全体の2%は外国人が日本で買うと推定してきたが、これがこの1,2年で倍増したと長浜さんはみる。

「今後国内の日本人市場が大きく拡大するとは考えにくいので、インバウンド需要はありがたいとは思いますが、こちらが主体的に仕掛けるというものではなく、あくまでも現地国で日常的にブランド価値を高める努力をしておくことが、日本旅行の際の購買意欲に反映されると思います」
(長浜さん)

都心のドラッグストアではインバウンド需要が追い風


コーセーが初めて海外に進出したのは1968年の香港だった。
いまでは25の国と地域に展開している。
早い時期に海外売上比率を全売り上げの20〜30%程度へ拡大することが当面の目標だ。

「特にアジアでは日本の化粧品は高価格帯ですから、やはり百貨店の店頭で美容部員がカウンセリングをして販売する必要があります。
現地で雇用した美容部員を日本で研修したり、日本人のスタッフが現地を巡回指導するなど『日本のサービス水準』を徹底するように努めています」
長浜さんは、こう説明する。

中国の百貨店でもコーセーの化粧品は知名度を上げている


東京王子にあるコーセー研究所。
販売する商品およそ3000品目すべてに関与している。
「最近は国内だけでなく輸出やインバウンド需要をにらみ、海外の気候や風土に合わせた研究も増えました。
日本と比べて極度に高温や低温、あるいは乾燥地帯でどんな化粧品が求められるかなど研究テーマが増えています」
内藤昇研究所長は語る。

東京王子にあるコーセーの研究所


国によって気候や習慣に差があり、ひと口に化粧品と言っても売れ筋が異なる場合もある。
国により重点商品をきめ細かく変えながらも日本商品の品質とカウンセリング力で国境をまたいでゆく戦略が求められている。

国内市場閉塞の中で、日本市場の成長期待は外国人客。
こうした動きはもう後戻りはないとみるべきだ。

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