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シニア向け市場へ老舗企業の挑戦



<明治>

渡部 信二さん

もともとアナウンサー出身の私がいまでも欠かさないのが毎日帰宅時のうがいである。
実はアナウンサーに限らず声を出す仕事の人で「イソジンうがい薬」を愛用している人は多い。

「もともとは医療用の薬で風邪をひいたときなどに病院で処方されたという経験を持つ方が多いと思いますが、その後一般向け商品として市販されるようになりました。
風邪の予防にと、冬場お買い求めになる方が多いです」
こう語るのは竃セ治の渡部信二健康栄養マーケティング部長である。

風邪の季節が最も売れるイソジンうがい薬

それにしても菓子で知られる会社がなぜうがい薬なのか?
「1946年に当社はペニシリンの製造を始めました、それ以来薬品事業にも進出してきたという歴史があります」
殺菌効果を示すこんなエピソードがある、と渡部さん。
「1969年人類初の月面着陸を行った『アポロ11号』が地球に帰り太平洋上に着水した際、アメリカ航空宇宙局(NASA)が船体にポビドンヨードの消毒薬をかけました。
地球外から運んできたかも知れない細菌に対してポビドンヨードが有効と判断したからです。
このポビドンヨードこそ『イソジン』の有効成分です」。

ところで渡部さんは53歳、社歴も30年だ。
「大学を出て好きな菓子の販売をしたいと入社しましたが、いまだ菓子の販売はしたことがないんです」と笑う。

この会社の起源は1906年、文字通り「明治」だ。
この年明治製糖という会社ができ、その後合併・分離、社名変更などを経て明治製菓、明治乳業という二つのグループに大別されてきたが、2009年に両社が統合された。
「明治製菓、乳業どちらにも健康分野の商品はありました。
私は明治製菓に入社、プロテインの『ザバス』、美容食品の『アミノコラーゲン』、そしてうがい薬の『イソジン』などの営業で主に薬局・ドラッグストアの営業をしてきましたが、統合後は明治乳業が扱っていた「粉ミルク」や流動食で栄養を補う商品『メイバランス』も加わり、いまでは赤ちゃんからお年寄りまでが私のターゲットです」(渡部さん)

昨年明治は大阪貝塚市に新しい拠点を整備した。
「関西栄養食工場」である。
ここでは主に高齢者向けの流動食を生産する。
主力商品の「メイバランス」を1時間に18000本生産する能力を持つ。
「流動食市場は年率10%を超える成長を続けています。
2010年度の市場規模700億円は、2020年には1000億円に達する見込みです。
市場拡大に対応すべく関西栄養食工場を建設しました。
これにより生産量も増え、一気に全国展開する体制が整いました」(渡部さん)

新工場が14年に竣工


流動食市場で明治はトップシェアを占めているが、これまではほとんどが病院・施設向けで、点滴チューブタイプやブリックパック入り商品が中心だった。
今回の新工場稼働は一般市場を本格的に開拓するという意味がある。
ミニカップタイプのメイバランスを新発売、ドラッグストアはもちろんスーパー、コンビニなどへの本格進出を目指す。

高齢者の低栄養対策商品に力を入れる

東京大森のダイシン百貨店。
高齢者を中心に地元に根強いファンをもち、特に食品売り場の充実には定評がある。
ここに並び始めたのが「メイバランスMiniカップ」シリーズだ。
味・成分により10種類あり、価格は1本230円前後。
大きな売り場展開に小売の側のこの分野への期待も見て取れる。
「1本で200キロカロリー、主な栄養素をまんべんなく摂取できるというこの商品は、思うように食事がとれない方々に次第に受け入れられると期待しています」(渡部さん)

ダイシン百貨店の売り場に並ぶメイバランス

明治ではこのダイシン百貨店をはじめ新しく展開し始めた販路で好調な売れ行きを見せていることから、今後の展開に自信を見せている。
高齢時代に照準を合わせる企業の対応は急ピッチである。

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