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旭化成ホームズ

旭化成ホームズの鉄骨住宅「へーベルハウス」のモデルルームを担当する高橋求理営業課長は、「正月に家族が集まったところで、今後のすまいをどうするかという議論がでることが展示場に向かう動機となることが多い」と言う。

高橋 求理 営業課長

「当社は他社に先駆けて二世帯住宅というコンセプトを打ち出していますので、二世帯同居を前提にしたご相談が多いです。
親の世代が『GS世代』、そして若夫婦は30代から40代というパターンが中心です」
(高橋さん)

「成約にこぎつけるカギは若奥様」というのが高橋さんの経験則だという。
「最初から親子そろって建て替え相談にくるわけでは必ずしもありません。
親世代主導で見に来るケースよりも、二世帯の分離度が高い住宅かを若奥様が評価して初めて成約に結び付くことが多いと感じます」

その「二世帯の分離度」をどう実現させるか。
「地価の高い横浜ですから面積の制約もあり、玄関一つで二世帯が上下階に分かれて暮らすことに落ちつきがちです。
両親の住んでいた土地で建て替えをする、建築費用は3000万から5000万の間くらいで親世代が一部を負担、若夫婦がローンを組むというケースが一般的です」
高橋さんはこう説明する。
二世帯住宅を決断する大きな理由として、孫との同居を望む祖父母の要望、一方で共稼ぎのために孫の面倒を祖父母に見てもらいたいという若夫婦の要望があるようだ。

孫の世話は祖父母の役割


モデルルームを実際に案内してもらう。
1階が親夫婦、2階が若夫婦の居住空間を前提にして、3階には趣味などに使える小部屋も配している。
大きなリビングルームは大家族が集合した時を想定しているためソファには7、8人は座れる。

大家族を前提にしたリビング

「同居の若夫婦が実の娘の場合は、親の部屋で娘と孫が毎日でも一緒に食事をし、残業で遅いパパの食事だけ2階に持って行くというケースもあるようです。
逆に同居が嫁の場合は二世帯で食事をする回数は比較的少ないと感じます。『二世帯の分離度』を望む若奥様の意向をあれこれ考えて設計します」
(高橋さん)
入居者の感想を聞くと、住宅の設計や構造とともにその「二世帯の分離度」に対する満足度がとりわけ高いという。

庭を作る余裕がない分ベランダを提案
二世帯向けは表札にも工夫

戦前生まれと違い若いころから「ニューファミリー」として仲良し家族だった団塊ファミリー。
若い世代だけでは戸建て住宅の取得が難しくなってきた今、孫をかすがいに、同じ屋根の下で暮らす「新しい大家族」形態が広がりを見せている。
二世帯住宅を旭化成ホームズが販売テーマに取り上げたのは今に始まったことではない。
「当社は、もともとへーベル板という建築壁材を親会社の旭化成が販売していたことから72年に住宅産業に進出しました。
そして75年からすでに二世帯シリーズの販売を業界に先駆けて開始しました」
旭化成ホームズ「二世帯住宅研究所」の松本吉彦所長はこう語る。

じつは同社ではさらに2年前から「2.5世帯住宅」を販売し始めている。
「最近は晩婚化、非婚化、離婚率の上昇により『GS世代』の家族では、これまで最多だった夫婦のみの世帯に代わり、『親と単身の子』が暮らす世帯が増えてきたという国勢調査の結果が出ました。
当社がこれまでに供給した二世帯住宅を調べてみても親世帯に単身の子が同居しているケースが2割近く存在することがわかったのです。
つまり二世帯住宅にさらに一人加わることから『2、5世帯』住宅と命名しました」
(松本さん)

旭化成は二世帯住宅に早くから注目してきた

同居の形態として多いのは息子夫婦と、姉または妹というパターンだという。
「お嫁さんと同居シングルの姉または妹の仲が良く、子供とも仲良く遊べるということが、大家族生活実現の決め手になります。
子供の世話やローン返済にシングルが家賃や食費を入れることで金銭面でも手伝い、大家族の協力で生活するという考え方が基本にあります」と松本さんは説明する。

かつて日本では家父長のもとに、既婚未婚を問わず兄弟姉妹を含めた大家族が住むという生活が地方では一般的だった。
それが高度成長以降の「民族大移動」で、地方から都会に出てきて団地やマンションなどで核家族単位で住むという世帯が急増した。
しかし今日、家族形態が一様でなくなり皆が役割分担をしながら助け合うという以前とは違う意味での新しい形の大家族という暮らし方が生まれてきたようだ。

「そうしたニーズに応えるためには親世帯・子世帯のプライバシー空間の確保に加えて0.5世帯である単身お姉さんの『ひとり暮らしの気ままさ』をどう確保するかという知恵も求められます。
また月に1度は全員が集合する『イベントの時だけ大家族』というハレの場の創出も重要です」
(松本さん)

さらに加えて、この家は日頃は別居している兄弟姉妹の家族にとっても「実家」という位置づけになる。
かつては帰省とは地方の実家に帰ることであったが、「都市の実家」に帰省するという新しいパターンも生まれつつある。
おもえば、正月に豪華なおせちに人気が集まるようになった背景のひとつに、こうした「大家族の都会型新年会需要」があることも忘れてはならない。
これも「GS世代」消費として注目される。

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