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テーマ別企業紹介



<カタログハウス>

松尾 隆久 取締役

東京新宿に本社を構える「カタログハウス」の創業は1976年だ。
「前身である(株)日本ヘルスメーカーという会社がこの年に誕生、新聞広告でルームランナーが爆発的にヒットしました」
こう語るのは松尾隆久取締役だ。

ある年齢以上の人ならば、あの室内ランニングマシーンのブームは覚えているはずだ。
「累計で20万台以上を販売しました。
その後82年に有料のカタログ雑誌『通販生活』を創刊、現在は130万部を発行していますが、このうち大半は定期購読の会員向けです。
カタログハウスの全売り上げのおよそ半分はこの雑誌による販売です」
(松尾さん)

爆発的ブームとなったルームランナー

会員は50代から70代までの女性が中心でこの傾向は変わらないという。
この会社はここに絶対的な信頼をおくコアの顧客がいる。
「うちはあまり売り上げを伸ばさないほうがいいという経営方針を貫いています。
顧客層を広げて売り上げ至上主義に走ればサービスの質が落ちてしまう。
修理などのアフターサービスを充実させることが大切、という考え方なのです」と松尾さんは言う。

販売する商品の多くは、メーカーにオリジナリティのある独自商品を開発してもらい、それを長く売り続けることを基本にしている。
たとえば「読者が選んだ暮しの道具ベスト100」という特集企画を組んでいるが、第一位の掃除機が入選歴19年、第二位の枕が24年など軒並みロングセラー商品が並んでいる。
大量の広告宣伝でヒット商品が出ても、あっという間に消えてしまうという浮き沈みの激しいご時世にあって、きわめて特徴的な販売スタイルといえる。
実際、どんな手法で商品の選定が行われているのか。

邑田さん

カタログハウス商品開発室の邑田晃司ゼネラルマネージャーは医療機器の担当だ。
「日頃知り合えないメーカーといかに知り合うかがポイントです」と語る。
邑田さんは、一般にはあまり名前が知られていないが、大手メーカーにOEMで商品を供給しているようなメーカーを日頃からマークしていると、手の内をあかす。
「今回注目したのが滋賀県のあるメーカーでした。
大手メーカーに医療機器を納めていた技術に注目し、当社のオリジナル商品としてうがいをしても届かない喉の奥まで届く吸入器を開発してもらいました」

初登場した、名付けて「のどミスト」は、予定の3倍を超える3万台のヒットとなり、さらに増産に次ぐ増産に追われた。
「これまでの携帯式は水を狭い穴から空気圧で噴出させる電動ポンプ式が主流でしたが、この商品はセラミック振動板で水を超小型ミスト化する超音波式で、この分野では初めて「10〜20マイクロメートル」という極小なミストを実現したのです。
これによりうがいでは届かない気管の中の線毛までうるおせます。
こういう技術を探していました」
(邑田さん)

価格は現在4980円。
増産効果によるコスト削減で前号より2000円も同じ商品が安くなった。
消費者の反応が売り上げ実績やアンケートによりストレートに跳ね返るところも「通販生活」が長く支持されている理由だ。

のどミスト雑誌
膨大なアンケートはがきが届く

大企業が自社の論理で生産したものを大量広告で消費を喚起する手法は、欲しいものがないという中高年には受け入れられない。
いかに消費者の目線に立った商品開発をするか「通販生活」の商品探しに終わりはない。

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