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<ヤマハミュージックジャパン>

目抜き通りにそびえる「ヤマハ銀座ビル」。
3つのフロアに28の教室があり、ピアノ、ギター、バイオリンなどおよそ40のコースに2500人が学ぶ。
「場所柄以前は勤め帰りのサラリーマンやOLの方が中心でしたが、近年増えてきたのが『GS世代』の方ですね。
時間に余裕ができたので若い頃少し触った楽器を本格的にやってみたいと、意欲的な方が多いです」
と店長の水原章兆さん。

「ヤマハミュージックジャパン」が展開する「大人の音楽レッスン」は大都市を中心に1400会場にも拡大した。
「86年のスタート時は約6000人でしたが、その後大きく成長し現在は11万人が通っています。」
こう語るのは教室普及部の遠藤彰さん。

大人の音楽レッスン

「4年ごとに受講者アンケートをしていますが、リタイア世代にあたる60代の占める比率は2003年に7%だったのが、今年は全体の4分の1を超える見込みです。コース別ではピアノが1位、サックス、ドラム、フルートと続きます。
受講開始時に楽器を持っていない方が約7割ですが、その後、およそ半分の方が購入されます。」(遠藤さん)

「大人の音楽レッスン」の受講者は女性が6割を占めるが、ヤマハでは今後は時間的余裕ができる男性の受講生を増やそうと、テレビコマーシャルもそこに照準をあわせている。
「従来の子供教室兼用のレッスン会場ではなく、2001年から大人専用の大型の会場を展開、現在全国に115会場になりました。
またシニアを対象としたプログラム「健康と音楽」「健康と歌」は、心と身体の健康や脳の働きを健全に保つことを目的として開発されたプログラムで2009年から始めましたが、近年のウェルネスブームにも乗って大きく受講生を増やしています」(遠藤さん)

大人用の大型設備を全国に展開中

「GS世代」はグループサウンズに引っ掛けた造語だが、若いころから音楽に関心を持ってきた世代でもある。
時間とお金に余裕ができたいま、楽器市場にとっては期待の世代であることは言うまでもない。

土井 好広 社長

浜松市で山葉寅楠という人が、「山葉風琴製造所」を1889年に設立、これがヤマハの前身「日本楽器製造株式会社」となり国産ピアノを作る。
「その後エレクトーン、管・弦・打楽器などを手掛ける一方、家具、二輪車、スポーツ用品、さらにはリゾート事業へも参入しました。
私の社歴も家具事業部からでした」
こう語るのは2013年に国内の楽器・音響機器販売、教室事業のためにできた「ヤマハミュージックジャパン」の土井好広社長だ。

「国内の楽器市場は、私が入社した80年ころがピーク。
当時はピアノの総需要が30万台でしたがこの30年間で2万台へと縮小しています。中国・アジアなど新興国では楽器市場はまだまだ成長していますが、日本と欧米ではすでに成熟市場です」
(土井社長)

1970年代の音楽教室 このころがピークだった

それでは国内市場を預かる「ヤマハミュージックジャパン」に打つ手はないのか?
「いやそんなことはありません。
『音楽を習う』から『音楽を楽しむ』という人を増やしていけば良いのです。
日本で演奏を楽しんでいる人口はまだ10%未満です。
つまり演奏人口を拡大して新たな需要を作っていけば良いのです。」
と土井社長は強調する。

「世界に先駆けて子供向けにオルガン教室をヤマハが始めたのが1954年。
幼いころここで習った人たちがこれから続々リタイアします。
これら祖父母世代も含め孫まで三世代で音楽演奏を家族のコミュニケーションとして活用していただける可能性があります」
(土井社長)

レッスン風景

事実ヤマハはこれまで「家族」をターゲットにした「家族の歌コンテスト」や「家族の音楽会」といった企画を実施、いずれも好評だ。
「高いレベルではなくてもホームパーティなどで演奏を楽しむ家庭を増やしてゆけば、演奏人口のすそ野は広がります。
また地域の活性化に音楽で貢献していこうとする「音楽の街づくりプロジェクト」も今後の注目事業です。
楽器を売るというより、楽しい時間や機会を売るというマーケティング発想がある限りまだ国内でも勝算はあります。」
と土井社長は語った。

家族コンサートで新規需要開拓を目指す
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