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定年制廃止で活力ある組織つくりを目指す


中野にある西武信金本店

西武信用金庫

東京の一信用金庫に過ぎない「西武信用金庫」が、テレビや新聞に全国的な話題を提供した。
定年制を廃止したのだ。
65歳や70歳への延長を議論するという話は聞くが、定年制そのものを廃止となると前代未聞である。
高齢者雇用は企業の負担が大きいと否定的な声が多い中で、果たして大丈夫なのか?

落合 寛司 理事長

「本人の意思により80歳でも働くことができ、しかも昇給・昇進も打ち切りはないという制度改革です。
何歳まで働くかは自分で決めろ、金融のプロなのだから、自立したサラリーマンたれ、という意味も込めています」
と、同信用金庫の落合寛司理事長は言う。
「もちろん60歳で辞めたり、嘱託を選ぶこともできます。
これまで退職の日に、辞める人と食事をしてきましたが、多くは本音では辞めたくないのだなと感じていました。
体力、能力、意識、モチベーションを自己判断して、やれると自分で判断したら何歳まで働いても構わない。
ただし年功序列ではないから人事考課で能力が落ちてきたと判断されたら降格もありえます」
話を聞いていて、スポーツの世界に通じると思った。

横綱は黒星が続いたら自ら引退を選ぶ。
名球会に名を連ねる大選手でも、衰えの中で現役を続けようと思えば、大幅な減俸も受け入れ、後のない戦いを強いられる。
「金融のプロならそれと同じです。
ただずっと二軍暮らしで40歳までプレーする人はいないと思いませんか?
超一流だからこそ、40歳を超えても現役でいられるということなのです」と落合さん。

だが、年長者がポストを占拠し続けたら、若手の活躍を阻害しないのか?
「組織内の競争を公平にし、若手も活躍できる場を与えています。
実際、企画提案をして立候補すれば年齢に関係なく支店長にするという制度で、32歳の支店長も誕生しました」(落合理事長)

定年制廃止により、必要な人材を集めるのに大きな成果があったという。
「中小企業でも海外に工場や販路を求める時代に、信用金庫の職員は海外経験が乏しい。
定年廃止は他の金融機関などから中高年の中途採用を招くのに大変効果があり、すでに20人を超える人材を確保できました。
中には70歳で再就職という人もいました」
と落合理事長は言う。
実際メガバンクを退職後に、西武信金の門をたたいた銀行マンもいる。
落合さんは、定年を廃止する企業が今後増えることは日本経済、そして地域の活性化にとっても良い影響がある、と力説する。

「高齢になっても現役サラリーマンとして高収入を得続けて税金を納め、年金を本人が放棄する。
そして親族が非課税で相続できるようにすれば年金問題の解決策の一助となり、国家財政に大きな貢献となります。
健康に働く人が増えれば医療費も減ります。
収入が減るとどうしても財布の紐は固くなりがちですが、いつまでも高収入があればどんどん消費に回り、地域に落ちるお金も多くなるはずです」

中高年はリタイア世代、長い老後をどう生きるか?などという固定的な観念からの発想の転換がそこにはある。
社会の変化の中で定年年齢を延長するといった「マイナーチェンジ」で解決するのか、制度そのものを根本から覆してしまうべきなのかが問われている。
西武信金の挑戦は、日本社会の試金石と言っても過言ではない。

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