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中高年向けメガネをどう売るか?


HOYAが開発した青色光をカットするアイプロテクションレンズ

HOYA

技術加工センター所長
飯田 茂房さん

「LED照明にパソコンなど、近年ブルーライトが生活のなかで増えています。
実は目の健康にとってはあまりいい環境ではないのです」
HOYAビジョンケアカンパニー技術加工センター所長の飯田茂房さんはこう語る。
「青い光というのは短波長光といって可視光線の中でもパワーが強いのです。
夏の強い紫外線が目を傷めることは以前から知られていますが、青い光もこれと同じように網膜に変性をおこし、ピントのずれが生じやすく、結果としてまぶしいと感じたり、ちらつきを感じる原因になると言われています」
そしてとくに中高年こそ目の病気になりやすい、と飯田さんは警鐘をならす。

「目の中にある水晶体は加齢に伴い白濁したり、弾力性が低下して、像を結びにくくなりがちですが、とくに青い光は散乱してちらつきの原因になるのです」
それを防ぐためには目に入る前に青い光をカットするメガネレンズが求められるという。
「HOYAではこれをアイプロテクションレンズのキャリアカラーと名付けて2009年から販売を開始しました。
効果に個人差はありますが、見え方の改善や目の健康のために是非に、と訴えています」
(飯田さん)

しかし、販売の面で課題もある。
それは一般の消費者はメガネを購入するときに、目の健康に良いレンズを買おうと眼鏡店を訪ねるわけではないからだ。
フレームが壊れた、目が見えにくくなったので視力にあったレンズに変えたい、といった動機が最も多いと思われる。
しかもメガネ市場はこのところ低価格を武器にしたチェーンが大きく伸びている。
1万円以下、30分以内にお渡しというメガネ販売では、レンズだけで何万円もするアイプロテクションレンズの普及は難しい。

「短時間ですぐにお渡しできるレンズは単焦点レンズが中心で、店が在庫として抱えているものです。
それに対して中高年の方にお勧めしたいアイプロテクションレンズや、遠近両用と言われる累進レンズ、さらに加齢による目の衰えに合わせた屈折矯正などの付加価値レンズはお客様一人ひとりの度数などに基づいて一つ一つ作りこみますから、一週間以上お待ちいただくことになりますし、低価格を競うメガネ店のPR商品にはなりにくいのです」
と、飯田さんは複雑な表情で語る。

日本国内のメガネ店はおよそ13000店余り、そのうち量販店と言われる全国規模で展開するチェーンの比率は7割余りを占めている。
量販店は低価格を武器に宣伝力でも大きな力を持つ。
「若い人ならば近視で度数が進みやすいから、単焦点のレンズを頻繁に変える必要もあるでしょうし、ファッション感覚でフレームを選ぶので低価格店に支持が集まるのはある意味当然かもしれません。
しかし中高年にあったメガネをどう広めてゆくかは、レンズメーカーHOYAにとって大きな課題です」
(飯田さん)

今回の話はメガネだけにとどまらないという気がする。
デフレ経済の中で低価格商品をアピールする店が隆盛となり、広告などの訴求の安さが前面に出てしまうと、付加価値商品の意味や大切さがなかなか伝わらない。
良い商品を普及させたいという作り手と、価格競争の中で普及商品を優先させたい売り手との思惑の違いということかもしれない。
HOYAの場合、中高年向けレンズをセミナーなどを開いてメーカーから直接消費者に説明する地道な活動をしている。
いかに周知させるか、道は平たんではない。

「GS世代」向けのレンズ普及にセミナーを各地で開く
HOYAビジョンケアカンパニーのセミナー担当 大嶽泰久さん

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