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テーマ別企業紹介

無から有を作り出した巨大ベンチャー50年に学ぶ


ココセコム

セコム

安田 稔 理事

「お客様が使い方をおしえてくださったんです」
セコム理事で広報室長の安田稔さんは、よくこう話す。
屋外用携帯緊急通報システム「ココセコム」のことだ。
GPS(全地球測位システム)と携帯電話基地局のネットワークを利用して小型端末の現在位置を割り出すシステムは、もともとはセコムの本来業務である警備から生まれた。

「金庫や高額品などが盗難にあったとき、この端末を忍ばせておけば、どこに行ったか追跡が可能、ということから開発しました。
発売から13年、契約数はおよそ100万台になりました。
自動車やバイク、建設機械の盗難防止に役立つとは予想していましたが、実は徘徊するお年寄りの所在をつかむためとか、子供のランドセルに入れて万が一の時に備えるというニーズが多くなっています」
と安田さんは語る。
こうした「想定外」の需要が知れ渡り、いまやココセコムは、家庭はもちろん自治体や老人施設から安否確認や徘徊追跡の切り札として利用されている。

セコムは創業50年、日本最初の警備保障株式会社として知られる。
東京オリンピックの警備で注目され、テレビドラマ「ザ・ガードマン」のモデルとして知名度を高めた。

ザ・ガードマン


何もないところからスタートして連結売上高6600億円になっている。
無から有を作った戦後最大級のビジネスと言えるだろう。
セコムが当初から力を入れてきたのが「機械警備」だった。
防犯カメラやセンサーとコンピューターを組み合わせたシステムを構築し、異常を感知するとセンターから人が駆けつける。
いまでは当たり前になっているオンラインセキュリティシステムを、1966年という早い時期から始めている。
創業者の飯田亮さんは会社草創期から「社会システム産業にする」という企業戦略をもっていた。
「安全」というキーワードの先に医療や介護を想定し、早くから事業分野と位置付けてきたこともセコムの特徴で、現在国内提携病院は18、老人ホーム12を経営、他にデイサービスなどの事業も展開している。
セコムは、安全という商品を売るうえで中高年層を大きな顧客対象ととらえている。

「ホームセキュリティという考えの中に防犯や防災に加えて救急も加えてきました。
体調不良の際にボタンを押していただけば必要に応じて担当者が急行するとともに119番通報も行います。
個人契約者数はすでに77万世帯に達しています。
今後一人暮らしの安否確認や医療機関との連携にも力を入れていきます。
自治体も、民生委員やヘルパーなどの巡回の経費負担が重くなっており、たとえばココセコムやホームセキュリティの入会金を公費負担、月々の維持費はご本人が負担するといった例が増えています。
福祉の分野でも当社が貢献できる余地があると考えており、今後そうした連携も進めていきたいと思います」
安田さんはこう語る。

安全・安心の事業領域には食品も入ると、1998年から始めた「セコムの食」という通信販売もやはり中心顧客は熟年層だ。
「スタッフが現地に赴き栽培方法や製造工程なども調べて自ら商品紹介の原稿を書くという手間をかけています。
十五穀米や、阿蘇の卵と牛乳だけで作るロールケーキ、といったこだわりを強調する商品群に反応してくださるのはやはりこの世代です」
(安田理事)

安全と安心を切り口にビジネスチャンスを広げるセコムの戦略は、今後さらに進化しそうだ。

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