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震災転じてヒントつかむ!


茨城県那珂市にある『なか健康センター』

磐城実業

磐城実業
水竹尊晴 事務長

あれから3年半。
「私どもが経営する『なか健康センター』がある茨城県那珂市は震度6強の激しい揺れに見舞われました。
建物は半壊しましたが、当時入浴中のお客様およそ130人は奇跡的にどなたもけがをされませんでした」
磐城実業の水竹尊晴事務長はこう話す。


磐城実業にとって「なか健康センター」の休業は大きな試練となった。
「とにかく再開したい、その思いで震災直後から従業員たちは一致団結しました。
幸い国と自治体の災害対策融資を受けられ、壊れた浴場部分などの改修工事が進み、2011年9月には再オープンにこぎつけました」

実は、「なか健康センター」は再開後、震災前よりもむしろお客が増えるほどの好調を維持している。
それは今回の改修で新しい『仕掛け』を導入したことに理由があるという。
「なか健康センター」で特に被害が激しかったのは2階部分にあったビデオシアタールームだった。
ここは大型スクリーンでDVDの映画上映などを楽しむ場所だった。

倒壊したビデオシアタールーム

「ここに200人収容の芝居ができる演芸場をつくったところ、芝居や舞踏ショーを目当てにお風呂に来る日帰り客が急増したのです」(水竹さん)
「演劇ホールなか座」と名づけた舞台では月替わりで時代劇が繰り広げられる。
10時オープンと同時に入場、お風呂に入って昼食を食べて午後に芝居と舞踊ショーを見て帰るという日帰り客が急増した。

「まだ、駐車場には液状化の起伏が残り、岩盤浴に併設の浴場は配管が壊れたままで使用できないなど完全な状態ではありません。
いまでも大きな地震があるとその後数日は客足が落ちるといった不安要素はありますが、とりあえず再開後順調に客足が伸びてホッとしています。
によりも中高年の人たちがお芝居を楽しみ笑顔で帰ってくださるのを見て、新しい試みが受け入れられたことに手ごたえを感じています」
と水竹さんは語る。
「ずばりお風呂に入っていただくこと以上に『楽しい時間を過ごしていただく』ことへの転換です。
温浴施設自体はあちこちにありますが、あえてうちを選んでいただくのは『あそこは楽しい場所』と思っていただくことではないかと考えるようになりました」

23時間営業(午前9時チェックアウト、開館10時)の「なか健康センター」は、普通入館料金は1800円くらいだ。
入浴だけして1時間で帰れば高いと思うかもしれないし、半日以上過ごして帰れば安いと思うだろう。
まして平日客のかなりの割合が中高年だから、時間はたっぷりとある。

「仲間でやってきて入浴と食事、昼寝もできるし、芝居やショーも見られる。
食事などが加わって平均的な支出は一日3000円、これで5時間以上は過ごされますから割安感を感じてくださっているようです」
と水竹さん。

演芸場が大当たり

「なか座」を作ったことで「営業」という発想も芽生えた。
「演劇と舞踊ショーをご覧になりませんか、と老人会などに積極的に売り込んでいます。
ただお風呂と食事だけでは団体客のセールスでも特徴が打ち出せませんでしたが、演目も月替わりなので一度気に入っていただけるとリピーターも期待できます。
いまは『楽しい時間』を売る発想で売り上げを伸ばしています」(水竹さん)

ランチと観劇がついて3200円パックという商品化、バスによる団体送迎もありますと、「なか健康センター」は、いま積極的な営業活動を展開している。