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困った人を支えるというビジネスチャンス


スワニーのバッグ

スワニー

板野司 社長

繊維問屋が集まる東京の東日本橋。
バッグメーカー「スワニー」で、取引先を招待した新商品展示会が開かれていた。
今回の売り物は、スワニーがウォーキングバッグと名付ける4輪のキャリーバッグ。
この会社が最も得意とする商品だが、車輪がこれまでより一段と大きくなった。

「これまでの直径60ミリが75ミリになりました。
当社の特許である車輪内部の密閉空間に内蔵したベアリングの効果で、これまで以上に軽くて走行性のよいバッグが実現しました。
オイルをささなくても雨やほこりでさびたりすることもありません」
板野司社長はこう語る。

「他社のキャリーバッグが旅行を想定しているのに対して、当社の商品は買い物など日常の生活で使っていただくことを想定しています。
そこでバッグ部分と取っ手・キャスター部分が外せるなどの工夫をしています。
玄関先でバッグ部分だけ部屋に持ち込むことができます。
お年寄りのサポートを意識した構造になっています」

展示会には多くのバイヤーが集まる


自社バッグを持つ
三好鋭郎 会長

スワニーがこうした商品に行き着いたのは現会長の三好鋭郎さんの発想にあった。
実は、三好さんは小児まひの後遺症で歩くのが困難。
ビジネスで世界を渡り歩く際、軽いキャリーバッグにもたれて歩きたいと思ったが、それまで出回っていたものはみな2輪で引くタイプばかりだった。
後ろで引くのではなく、体の横に沿わせて押す4輪のバッグを作れないか、
三好さんは自ら企画設計を行い商品化した。
課題は次々に出てきた。
握りがカバンの中央に位置しないと体を支えたときに倒れてしまう。
それを打開するために考案したのが「湾曲ハンドル」だった。
バッグの握り手が半径3メートルでカバン側にあえて湾曲する構造にした。
これによりもたれかかっても体を支えやすい構造になっている。
スワニーのキャリーバッグがシニア層に特に支持されている理由はこうした細部の工夫にある。

散歩のために毎日使うキャリーバッグであってほしいと「ウォーキングバッグ」と名付けた。
スワニーはいま、このウォーキングバッグを年間12万個販売する。

「市場はどんどん広がっています。
シニア女性から圧倒的な支持をいただき、一度使い始めると普段使いはもちろん、旅行などの際にも必需品と感じてくださる方が大勢いらっしゃいます」
と板野社長は言う。
板野社長は空港や駅で自社バッグを使っている人を見つけると、名刺を出して挨拶するという。
「まずはお礼を申し上げたいということと、実際の使い勝手についてお聞きすると、みなさんいろいろ感想をお話しくださいます。
ほめていただくのも嬉しいですが、使いながら気が付いた改善提案をいただくことがなおさらありがたいのです。
シニア女性はとくに親しげにご指摘くださるので、大変嬉しく思います」

スワニーには年間6000通ものアンケートハガキが返ってくる。
「杖をつくのが恥ずかしいから出不精になっていたんですが、いまは散歩に行くのが楽しみでたまりません」
こうした指摘のアンケートをもとに車輪のさらなる大型化やストッパーをつけるといった改良改善を加えてゆく。

バッグとキャスターが取りはずせる
直径75ミリの車輪が特徴

口先だけで顧客志向を標榜するのではなく、日々社長が先頭に立ち、率先垂範お客さんの声を吸い上げる姿勢が利用者の立場にたったモノづくりを支えている。

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