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テーマ別企業紹介

市場半減の中での生き残り模索

白洋舍

白洋舍

武田 順 部長


クリーニング業界のトップ企業、白洋舍に「ヒット商品」がある。
「ワンデーカーテンクリーニングです。午前中にお預けいただければ、夕方までにお届けしますのでカーテンなしでご不便な夜を過ごすことはありません、というご提案が受けました。しかもクリーニング料金の5%の手数料で、取り外し、取り付けもいたしますというサービスはお年寄りのご家庭に喜ばれています」
クリーニング事業部長の武田順さんがこう説明する。

クリーニング業界は20年前8000億円市場と言われたが、いまではおよそ半減している。
クールビズの普及で、夏物のスーツを着る人が少なくなり、ノーネクタイも今や当たり前、秋にかけての衣替え時期に夏物衣料をクリーニングする需要は激減した。
加えてもっともスーツに身を包んで勤めに出ていた中高年がリタイア、カジュアルな服装で毎日を過ごせばもはやクリーニング店に出すものは限られる。
なんとか新たな市場を切り開こうと模索する中で生まれた取り組みの一つが、「ワンデーカーテンクリーニング」だった。
このサービスがなければカーテンをクリーニングしようという発想もなかったという人たちが、戸別配達にくる営業マンたちのビジネストークで「そんなに便利なサービスがあるなら頼んでみようか」と心を動かされて頼むという。
いわば「無」から「有」を作り出しているわけだ。

「新商品」に人気

白洋舍は全国におよそ800の店舗を展開するほか、500人の営業マンによる戸別集配営業が大きな特徴だ。
実はこの営業マンは単なる洗濯物の集配係にとどまらない。
「以前から集配のついでにクリーニング業に関わる家庭用の洗濯洗剤やタンスの防虫剤をご家庭に販売していました。それが現在は鍋やフライパンといった家庭用品、カシミヤセーターなどの衣料品から食料品まで販売する窓口になっています」
と、武田部長は話す。

あらかじめカタログをご家庭に配っておき、洗濯物と一緒に届けたり、宅配便を使って個人の家庭向けに販売しているという。
「個別に伺うご家庭の1割弱の方とこうしたクリーニング以外のお取引をさせていただいています。もちろんクリーニングが本業ですが、買い物がたいへんというお年寄りが増える中で、顔見知りの営業マンが出入りしているということが、今後の宅配ビジネスのプラットフォームとして育ってゆくかもしれません」
と武田部長は語った。
20年間で半減、というクリーニング業界のマーケット縮小の中で、こうした試みだけで活路は見いだせるのだろうか。

市場開拓ができるか?
松本 彰 常務

「いまの60代は以前の60代のように隠居暮らしで家に引きこもりがちというわけではありません。旅行をはじめ外出好きという大きな特徴があります。そこには必ずクリーニングという需要が付随するはずで、そこにむけて提案を怠ってはならないと思います」
こう語る松本彰常務は、技術力を武器にした新商品の構想も温めているという。
「思い出の商品化です。昔初めてのデートの時に来た服、ウェディングドレス、息子が初月給で買ってくれたセーター・・・。時がたち、色は褪せたり、黄ばみやシミも気になるこうした想い出の衣類が押し入れに眠っているはずです。これを当社の1級の技術者たちならば再生させることができます。多少価格は高くても思い出を蘇らせることができるならば、お金を惜しまないという方もおられると思います」
逆風に立ち向かう白洋舍の「中高年戦略」はまだ緒についたばかりである。

熟練の技は売り物
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