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嬉野温泉の老舗「大正屋」、リーピーター客を約束する徹底した顧客分析によるおもてなし

団体旅行が減る中で、顧客満足を高める経営により個人のリピーター客を呼び込んでいる「大正屋」。
顧客の好みや家族の名前までコンピュータ管理して次回来訪時に活かしている。
老舗旅館が挑む顧客の志向の経営を取材。

大正屋

江戸時代に長崎でオランダ医学を広めたシーボルトも湯治を勧めたという佐賀県の嬉野温泉。
日本三大美肌の湯として知られてきた。
現在50軒弱の温泉旅館が経営しているが、「大正屋」はその中でも老舗旅館としての格式と風格を備えて、人気を維持している。
創業は、その屋号の通り、大正14年。
開業当時は、部屋数わずかに5室という嬉野川に自噴する温泉を利用した湯治旅館だった。

静かな湯治場だった嬉野温泉が活況期を迎えたのは、昭和30年代以降の高度経済成長期だった。
企業の慰安旅行や団体パック旅行が大隆盛となり、大正屋も増築増床を繰り返し、客室数78室という大旅館に成長していった。

しかし時代は変わる。
団体旅行のブームは去り、個人旅行が中心となって旅館業も新しい対応を迫られている。
団体ならば、お客が自分で宿を選ぶわけではないが、個人の客ならば宿選びにもこだわりが出てくるわけで、顧客満足が得られなければ二度と来てはもらえないことを意味する。

「私どもの特徴として、リピーターのお客様がたいへん多く来てくださるということがあります。そのために顧客サービスを徹底するということを基本にしています。たとえば接客係はお客様がお帰りになると毎日業務日誌というものをつけて提出します。これはいわばお客様のカルテのようなもので、お客様との会話内容、お食事やお飲物の好み、枕はどんな材質のものがお好きか、お孫さんのお名前などに至るまで、気がついたことを書き遺します。それをコンピューターで一元管理して、次の御来訪の時にしっかりと予習して、接客に活かしています」
専務の山口雅子さんはこう語る。

大正屋は、95年旅館街から離れた山あいの地を切り拓き、そこにまったく新しいコンセプトの旅館「大正屋椎葉山荘」を建設した。
ダイニングのあるロッジ風の母屋と、離れの客室が廊下でつながり、各部屋は、和風・洋風を合わせた作りで、若い家族やカップルなどがプライベートタイムを存分に楽しめるように工夫してある。
料理は部屋出し、接客係が各部屋にべったりサービスするという旧来の日本旅館とはひと味違うもてなしの仕方を提案した。
団体旅行の時代からの転換し、どう設備、システム、サービスを個人の時代に対応させるか、「大正屋 椎葉山荘」の登場は、その象徴的なことであったと考えられる。

こだわり志向の時代への対応という点で、大正屋にはもう一つ特筆すべきことがある。
嬉野温泉が、温泉水でつくるまろやかな味わいの豆腐をつかう湯豆腐が名高いが、温泉旅館が自ら豆腐工場まで直営で持っているのは大正屋だけなのだ。
お客さんの朝食に出す湯豆腐の豆腐は毎朝未明よりこの工場でつくっている。
まろやかな、とろけるような味わいは、忘れ難く、お土産はもちろん全国から通販で取り寄せるファンも多いと言う。
日々あらたなり。
老舗旅館の精進に終わりはない。

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