「西村晃のマーケティングの達人 大繁盛の法則」企業経営・売上アップのヒントを提供

テーマ別企業紹介

老舗印刷会社の挑戦。マーケティング分野に強い会社を目指し提案する頭脳集団を目指す「三松堂印刷」

社歴100年以上という老舗印刷会社が大変身を目指す。
新たなサービスを提案し、ワンストップソリューション企業へと変貌しようとしている。
マーケティング分野の強化など新規分野への挑戦で活路を拓こうとしている。

三松堂印刷

2007年東京・ 西神田に3棟の洒落たオフィスビルがオープンした。
この地は三松堂印刷の本社所在地、住友不動産などとの共同開発を進めてきた。
事業計画中、板橋区前野町の工場にしばらく本社機能を移していた三松堂印刷も竣工後はあらためてこの地に本拠を移し、新しい時代へのスタートを切った。

新しい時代。
それは印刷会社にとってどんな時代になるか、まだこの業界の関係者にも確実な海路は描けていない。
電子化、ペーパーレスの時代に印刷業はどうあるべきか、模索は続く。
例えば出版。
iPadなどの普及により電子書籍が伸びて行く。その時紙の書籍がどうなるか、出版業界との取引がこれまで大きかった三松堂印刷にとっても無関心ではいられない。
「iPadの普及と出版業界の落ち込み、これは今後とも続き出版印刷物の総量は確実に減っていくと思います。こういった状況の中で私どもは、既存のサービスの強化と新たなサービスの創造、この2つを同時に進めていかなければならないと感じています。」
と取締役の矢部真太郎さんは語る。

三松堂印刷は明治35年創業の老舗だ。西暦1902年だから20世紀に入った直後、日露戦争の前ということになる。
第二次大戦後、この会社は出版に特化して大きく成長する。活版からオフセット、電算写植と技術革新も進めてきた。
また近年ではカタログなど商業印刷の領域を広げてきた。
それは出版市場縮小という現実もあるが、印刷製造業として得意とする分野を広げることで、全てのお客様に対して今まで以上に最適なサービスを提供していく事が可能になる、という判断があった。
「これからのビジネスは、ワンストップ・プロダクションによるクィックレスポンスが欠かせないと思います。一貫生産による効率化で生産性をあげることが不可欠です」
矢部一憲社長はこう語る。
印刷工場の生産性にこだわる理由は、旧態依然たる印刷業では、新しい時代には生き残れないという危機感があるからに他ならない。
「WEBの時代にあっても活字媒体がすべてなくなるとは思いませんが、かといってWEBもできない印刷会社に仕事は来ないというのも現実です。たとえば官公庁の資料はいまどんどん電子化が進んでいます。一方で数は減ったとはいえちゃんと印刷製本もしている。ではどこの印刷会社に発注が行くかと言えば、それは電子データ化もできる印刷会社なんです」

いま三松堂では新しいビジネスモデルに挑戦している。
「それはマーケティング部門です。お客様から受注した販促物を印刷加工するだけでなく、手段、時期、ターゲット、価格が最適なのかを相談しながら、費用に対する効果、効率を一緒になって上げていく、という事にチャレンジしています。場合によっては、この取り組みで数量が減る、価格が下がるなどして売り上げが減少してしまう事もあります。しかし、お客様から信頼を受け、パートナーと認めていただけることは、他に変えることの出来ない価値だと思っています。」

これまで印刷業はともすれば受注産業だった。
仕事が来るのをただ待っていればよかったという時代は確実に終わった。
新しい時代に印刷業が生き残れるかは、この姿勢を転換できるかにあると言っても過言ではない。
こちらから仕掛けて仕事を取ってくるという姿勢になれるかが最大のポイントだ。
取締役で社長の長男である真太郎さんはいま28歳。
実は5年前から、父親で現社長の一憲さんは、「2012年には社長を譲る」と内外に宣言している。

若い感性で難局に挑む。
新しい時代への挑戦である。

オフィシャルサイトはこちら