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テレビショッピングで急成長「パテントの塊」、使いやすい婦人バッグ製造「ヤマト屋」

顧客からのクレームなどを徹底的に研究し次の商品開発に結び付けてきた婦人バッグ製造の「ヤマト屋」のバッグは使いやすく、価格も手ごろと人気を集める。
特に最近はテレビショッピングで、大きな話題を集めている。

ヤマト屋

軽妙にカメラに向かって語りかける社長の正田誠さん。
2009年に父親で会長の喜代松さんから社長を引き継いだばかりだ。
もともと大手文具店に勤務していたころから、誠さんは人前でのプレゼンテーションには秀でていた。その特性を十分に生かして活躍中なのがテレビショッピングなのである。

正田社長がテレビショッピング番組で活躍する婦人バッグメーカー「ヤマト屋」。
機能性を追求した商品だからこそ、テレビで紹介するとその利便性が伝わり、放送中から注文の電話が殺到する。多いときには1日に1万個以上も売りさばく。
ヤマト屋のバッグは実用性、機能性に優れている。
たとえばショルダーバッグの口についたファスナーは両側から締めた金具にロックがついていて、スリが簡単には開けられないように作られている。
サイドポケットにカードや小銭入れ、キーホルダーを作ったり、底板をチャック付き隠しポケットにしたりとさまざまな工夫をしてある。
中高年向けカジュアルバッグが中心だが、軽くて丈夫な素材にこだわっている。

「テレビショッピングやカタログ販売は、その時のみ、また紹介した商品のみ、という販売手法ですから、あまりここだけに頼りすぎる販売は危険だと思います。うちがいままで行ってきた百貨店などの店頭販売とクルマの両輪でやっていくのがいいと思います」と正田社長は語る。

ところでヤマト屋は最近28年住み慣れた本社を移転し、浅草近く蔵前に移転した。これまでの本社は東京墨田区を走る東武線の曳舟駅の高架下にあった。
「ガード下のカバン屋という立地にこだわっていたのですが、線路の耐震工事で残念ながら移転せざるをえませんでした」と会長の正田喜代松さんは言う。

ヤマト屋の創業は明治25年、最初は浅草仲見世の和装小物の店だった。三代目にあたる喜代松さんが繊維メーカー勤務を経て昭和45年代に入社、事業を一気に拡大させて本社ビルも建てた。しかし、経営の甘さとコピー商品の横行で事業は立ち行かなくなったという。
昭和57年、その再生の地として駅の高架下を選び大リストラを断行した。当時社長の給料はゼロ、社員は半減した。
事業再生にあたり正田さんが徹底したことが二つある。
「お客様中心主義を貫くこと。クレームを分析、糧にして次のヒットに結びつける姿勢を社内で徹底しています。もうひとつは環境整備、つまり整理整頓と掃除の徹底です。いつお客様が見えてもいいように社内全体をショールームにしようという心がけは本社をビル1棟に広げた今後もかわりません」

ヤマト屋は、生産はアジアではなく、全て関東周辺の協力工場に委託している。本社では新製品の企画・試作などのほか、改善提案に力を入れている。ショルダーバッグに重いものを入れたらベルトの金具が壊れてしまった、というクレームがあれば、重いものを入れたからいけないんだ、直せばいいんだ、では済まさず、返品されたバッグの壊れた金具の超拡大写真を撮って解析したり、強度試験を繰り返して金具メーカーに改善提案をする。また中高年婦人のバッグは軽さが要求されるので、採用する素材の段階から軽さを追求する。ヤマト屋は軽量で耐加水分解性「ポリカーボネートウレタン皮」をメーカーと共同開発、世界で初めて全面的にこれを採用した。
正田会長は、「ヤマト屋のバッグはパテントの塊」だと言う。
価格競争厳しくモノが売れない時代だから、いくらテレビショッピングやカタログ通販をやっても特徴のない商品は安くする以外訴求するものがないということになる。テレビや雑誌で語るべき特徴があってこそ初めてヒットも約束される。
もうひとつ、正田会長がとくに強調したことに「会社磨き」がある。
社員全員が一致団結する気持ちを維持してゆくためにも常に整理整頓、掃除の徹底を呼びかけている。掃除は毎朝全員で行うが、特にトイレ掃除は社長の仕事と決めてある。正田会長も社長時代は自ら毎朝掃除してきたが、社長交代でめでたく掃除当番も新社長に引き継いだ。
駅の高架下から、心機一転、顧客第一主義と社員全員一丸となる「ヤマト魂」で企業再生を成功させたヤマト屋。
たとえ本社は移転しても、あるいはテレビショッピングなど販売手法はかわっても、地道な経営は変わらないはずだ。

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