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「酢ムリエ」が提案する酢の飲み方

100年以上続く老舗酢メーカーが大変身。
調味料の酢をフルーツなどとブレンドして、駅や百貨店で飲料として飲んでもらうという新需要喚起。
「クリスマ酢」やバレンタインギフトなどオシャレな酢で躍進。

内堀醸造

岐阜県八百津町に創業した内堀醸造は135年以上の歴史を持つ。
現在は酢の専業メーカーだが創業当時は味噌や醤油など醸造業全般を扱っていた。
その内堀醸造がこの10年ほど大変貌期に入っている。
従業員が3倍近くに増えたが、最近入った人ほど若者が多いため平均年齢が33歳と大幅に若返ったのだ。
その原因の一つが長野県中央アルプスの麓、飯島町に2006年に建設した新工場の創業開始であった。
アルプスの麓に位置するこの土地の自然環境と良質な水は高品質な酢造りにとって最適な場所という判断から立地したのだが、それもさることながら地元の若者たちの雇用の場として大歓迎され優秀な従業員が高い定着率で働くようになったことは、この会社にとって大きな財産となった。

若い力を内包することによって一言でいうならば内堀醸造は「提案力の会社」になったといえる。
100年以上も社歴があるのだから急に品質が向上したというような変化が起きたわけではない。
決定的な変化は売り方が変わったということだ。
名古屋を皮切りに全国の百貨店に「オークスハート」という直営小売店を出店した。
フルーツの果汁を発酵させて造った飲む酢(デザートビネガー)というジャンルを切り開いた。
常務の内堀光康氏が自らタキシード姿で、店頭はもちろんテレビや雑誌にまで頻繁に登場し、酢ムリエと称して酢の飲み方を提案した。さらに東京駅のグランスタと呼ばれる「駅ナカショッピングセンター」に出店、バレンタインやクリスマスに贈るお洒落なパッケージプレゼントをヒット商品に仕立てあげた。

スーパーなどで売られる地味な調味料としての酢というイメージを一新したことこそ内堀醸造変貌の成果といえる。
こうした提案の結果、この会社に対する評価と知名度は急上昇、大手スーパーやコンビニさらにはマヨネーズやケチャップなどのメーカーからの原料注文も増える結果となった。
食のマーケットは縮小傾向ということは一面事実ではあるが、これまでに全くなかった売り方を考えればたちまち売れだすということを証明して見せた。
アルプス工場を任されている杉江毅さんはまだ31歳。彼はこう語る。
「伝統産業であるからといってその歴史には頼っていない。時代は変化する。その変化に合わせて私たちも変わり続ける必要がある。それは伝統を捨てることではない。守るべき伝統はやはり継承されるべきだ。私たちで言えば歴史の中の先輩から受け継いだ酢造りの製法である。
伝統と革新、この二つを可能にするには何より社員の力、特に若い社員の活力が欠かせない」。

内堀醸造の革新はまだ始まったばかりなのかもしれない。

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