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「ハレ」を提案して、地方都市に結婚式誘致を成功させた「グランドパレス川端」

花火で知られる秋田県大仙市。
その花火を取り入れた結婚式で人気を集め大仙市だけではなく秋田県全域から集客をしている結婚式場がある。
そのアイデアはマーケティングのお手本だ。

グランドパレス川端

秋田県大仙市大曲。
人口3万8千人の静かな雄物川のほとりの街である。
夏の夜空を焦がす、年に一度の花火大会で知られている。
大曲と言えば花火。
そうだ、これを活かさない手はない。
そう思いついたのは、「山の手ホテル」を経営する齋藤浩英さんだ。

大曲市内の結婚式数は年間およそ300組。
そのうち齋藤さんの経営する3つの式場が、およそ6割を押さえているが、なかでも「山の手ホテル」の人気は高く、市内はもとより50キロ離れた秋田市や県外からも「ここで披露宴を」というカップルが殺到している。
実は、この人気の秘密こそが、あの大曲名物の「花火」であった。

「山の手ホテル」では、結婚式誘致の決め手は他の式場にはないソフト開発であると考え、知恵を絞ってきた。その結果、チャペルと芝生をガラス越しに見る披露宴会場で、両親に新郎新婦が花束を渡すクライマックスを花火で盛り上げる、という趣向を考え出したのである。
ガラス越しに横一線、高さ数メートルできれいな光の華が開くと、会場からはどよめきの声があがり、大きな拍手に包まれる。その光の中に浮かび上がる2人は、まさに「千両役者」だ。
人生最大のイベントを盛り上げたいという心理に、花火はピッタリだ。
「山の手ホテル」で結婚式を挙げたいというカップルのほとんどは、オプションにこの花火を希望する。

大曲の結婚式の件数は、きわめて限定されたマーケットである。
閉塞市場になると、まず考えがちなのが価格の引き下げだ。これは必ずライバルのさらなる引き下げを招くから、ドロ沼の値引き競争になってしまう。
消費者も、最初は「出血大サービス」に感激するが、次第にその価格に慣れると「出血の痛み」を感じてはくれなくなる。

とくに、結婚式は一生に一度のものだから、激安価格よりは、やはり質が高く思い出深きものになってほしいと考えるのが、カップルの心理だろう。
一生に一度の結婚式だからこそ、地元でもっとも大切なイベントである花火大会を演出に使えば、きっと喜ばれるに違いない。
結論から聞けばなるほどと思うが、「結婚式」と「花火大会」というまったく異なるものを頭の中で結んだ齋藤さんのアイデアの勝利である。

2つのものを結ぶキーワードは「ハレ」である。
異次元のものをどう結びつけるか。
これこそセンスである。
そしてセンスとは、日頃から磨いて初めて光るものである。

山の手ホテルでは、また近くの森のなかに、3人の国内外で活躍するアーティストのコラボレーションによる音と光とアートのホール「クリスタルサーカス・フォレスト」をつくり、総ガラス張りで外に緑とせせらぎをみながら結婚式を挙げられるようにした。
素敵な時間をプロデュースするセンスが評価されている。

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