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ある決断が企業を変える



<アクタ>

社長の柴田伊知郎さん

「あの時の決断がいま思うととても重要でした。
あれ以来利益なき繁忙から脱して会社が元気になったし、私自身方向が明確になりました」
福岡県古賀市にある食品包装材メーカー「アクタ」の柴田伊智郎社長はこう語る。

「アクタ」はもともと、博多の伝統工芸である博多曲物や折箱の製造を家業としてきた。
先代社長の柴田伊勢雄さんがプラスチック製容器の加工の容易さや、衛生面での優位性に目をつけ、「PSPトレー加工技術」をいち早く導入した。
これは、プラスチックの一つ「PS(ポリスチレン)」を原料として薄いシート状の状態にした「PSP(ポリスチレンペーパー)」を型で熱し食器の形状にするものだ。
その後、接着剤を使わない熱処理加工で仕切をつくる容器がコンビニの弁当用に採用されたことで広く普及し、業績は拡大した。

もともと博多曲物という伝統容器の製造

しかし、アクタに転機が訪れる。
「2006年をピークに売上が減り始めました。
コンビニ中心の取引の見直しに迫られました。
そこで利益の出る体質への転換をはかったのです。
圧倒的な売上構成だったコンビニ向けの容器の出荷を抑え、商品のコンセプトを一新、モノトーンのカラーや、洋のテイストを持った形状など、デザイン性を高めた商品を開発に力を入れました。
また販路も駅ビルや百貨店などで販売する食品メーカー向け、惣菜仕出し業向けの弁当容器の生産に比重を移したのです」
(柴田社長)

デザイン性重視に転換

この狙いは当たる
売上はピークのおよそ半分だが、逆に利益は倍増した。

「納め先が変わり、最終顧客層も様変わり。
『GS世代』あるいはそれ以上の方が中心になりました。
昔は家で弁当を作り外で食べましたが、いまや駅ナカやデパ地下で買ってきた惣菜弁当を家で食べる時代になりました」と柴田社長は笑う。

以前なら年配になればなるほど煮物や煮魚は家庭の味を大切に主婦がつくるものだった。
しかし、「GS世代」の主婦はパートに出たり、旅行に観劇と外出頻度が高く、家庭構成人員の減少もあって惣菜を外で買って帰ることに抵抗感はない。
そしてそれを「手抜き」と目くじら立てる夫も今や少数派かもしれない。
そうした時代の変化を見抜いた柴田社長の先見性は的を射ていた。

生産風景

1990年、それまでの柴田産業という屋号を「アクタ」に変更した。
由来は、「ACCORD=調和」「CREATIVE=独創性」「TRY=挑戦」「ACTIVE=活気」の頭文字をとったという。
「活気」ある社員のアイデアが「調和」して、社会のニーズをとらえ、「独創性」を発揮し、「挑戦」を続けてゆく、そんな意欲を感じた。

アクタ本社
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