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テーマ別企業紹介

「いつでも なんでも 作ります」
アイデアを形に変える「サンセロ」

宣伝商材から100円ショップ商品までビニール製品を中心にどんな要望にも応える「サンセロ」。
免許証入れ、保険証入れ、契約書や請求書などを入れるホルダー。
会社名を入れた宣伝商材はたくさんあるが顧客ニーズに合わせたオリジナル製品を次々に登場させるユニーク企業。

サン・セロ

島根県松江市。
山陰の城下町は静かで落ち着いた佇まいを見せている。
人々が暮らし、あるいは観光で訪れるのには素敵な町なのだが、経済的には大きな産業がないし、大都市から離れている分、情報収集や物流で遅れをとる面も心配だ。
「だからこそ当社では私を先頭に東京などで開かれる勉強会や展示会などに頻繁に足を運び、絶えずアンテナ感度を鈍らせないようにと心がけているんですよ」と「サン・セロ」の三谷英弘社長は強調する。

「サン・セロ」。もともとの社名は「山陰セロファン商会」という。1955年に松江市で創業した製袋業、つまりレジ袋やファッションバッグなどビニールやポリエチレンなどの袋を生産する会社だ。
商品を包む、あるいは入れる袋は当然広告効果も考えて社名や商品名が書き込まれるツールとしての価値をもつ。「サン・セロ」が次第に広告宣伝商材産業へと移行していったのも当然の成り行きだろう。さらに文房具や100円ショップなどでも扱う雑貨類の製作へと取り扱い領域を広げて今日に至る。
「時代の変化を的確に捉える感度がことのほか求められます。当社の商品はどうしても生活に必要なものかと突き詰めれば、なくても済んでしまうかもしれないものが多いのです。しかしこちらからこんなものがあれば便利ですよとか、こうして使ってもらえれば会社名をピーアールする効果は計り知れませんよ、と説明すると、なるほどとわかってくださるお客さんが多いんです」
例えば健康保険証が従来のハガキサイズからカードサイズへと変更された時、いち早く保険証入れを提案したり、レジ袋有料化に合わせてエコバッグを売り出したりと、機を見るに敏の提案を繰り返してきた。
基本的に在庫を抱えて店に並べるビジネスではなく、顧客に提案して受注生産をするからまさにプレゼンテーション力が全てといってよい。そしてどんな顧客からの希望にも「イエス、ウィキャン」以外の答はない。「会社のキャッチフレーズは『いつでも鋭意制作中』です。お客様がわがままを言ってくださることが私たちのプロ根性を奮いたたせるのです」と三谷さんは力を込める。
例えばある会社から、「こういうモノを作ってくれないか」と、書類を閉じるバインダーの開発要請が来たことがある。
既製品は文具店を回っても見つからなかったようだ。今まで「サン・セロ」が扱ってきた商品は、カードを入れるカバーなど、平面的で構造も単純なモノが多かったが、このバインダーは、中にボール紙を入れたり、最後に金具を取り付けたりするなど形も複雑で、製造する際の機械の調整などが従来品と比べて全く異なっていた。
「受けた時には、作れるかどうか自信はありませんでしたが、金型があれば何とかなると製造を決断しました。しかし、せっかくつくったのに初回納品分は顧客に気に入ってもらえず返品されてしまいました。それでもあきらめず、改修・改良を繰り返しついに商談成立。その後この商品はいまでは弊社を代表する商品に成長しています」。
このほか北海道産の薄い板材を加工してハガキやウチワを作成するなど地方企業ならではの地元産の素材をつかったアイデア提案にも実績をもつ。
三谷さんの趣味はマラソン。全国の大会に出場しているが、そこで培った我慢強さ、粘りもこの会社の強味かもしれない。

いま松江市内で小学生の登下校の安全を守る黄色の横断旗は「サン・セロ」が寄贈したものである。
「ネズミの絵を使って『横断チュウ』、象の絵を使って『わたってるゾウ』というものです。自社の旗を使って登下校している児童をみると、自社の製品が社会に役立っていることを実感し嬉しく思います』と三谷さんは語る。

山陰松江から全国にアイデア商材を提案する「サン・セロ」。
都会の大企業とは違う目線でビジネスチャンスにアンテナを伸ばしている。

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