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300年の伝統をモダン商品として提案する、建築壁紙から照明、ランチョンマットまで和紙の魅力を発信。

原料まで自給する紙すき職人はいまやきわめて限られる。伝統文化材・名尾和紙の継承者は若いセンスで次々と新たな和紙の可能性を切り開くベンチャーでもある。

名尾和紙

風景をみれば、とても「市」というイメージではない。
平成の大合併で佐賀市の一部になったとはいえ、ここ名尾地区は山里静かな地で、時の移り変わりを感じることもあまりない。
山間地で農業の生産性も低く、古くからこの地の人たちが選んだ仕事が紙漉きだった。山あいを流れる名尾川は清らかな水を恵み、紙の原料となる梶(かじ)の栽培にも適して最盛期には100軒ほどの紙漉き職人が生活していたそうだ。
しかし、時代とともに機械化が進み、昭和60年には3軒、さらに現在ではわずかに1軒のみとなってしまった。
その1軒こそ、今日紹介する佐賀県重要無形文化財、名尾和紙である。
江戸時代の創業から数えること6代目の谷口祐次郎さんは1965年生まれ。もともとはサラリーマンだったが、家業を継ぐことを決心し、修業に入った。

名尾和紙は以前から、一般的に使われる和紙の原料である楮(こうぞ)    は使わず梶(かじ)の木の皮を使う。梶は繊維が長く、薄くても丈夫な和紙ができるため、大相撲に使う提灯や大宰府天満宮の大提灯など、九州のあらゆる提灯に使われてきた。
谷口さんの家では、梶の木の栽培から行っているが、手漉き和紙職人自体が減っている中で、自ら原料まで生産しているところは今日日本でもきわめて少ないという。

生産は限られているが、創作和紙に対する「こだわり需要」は存在している。葉書封筒などの小物はもちろん、和洋菓子のパッケージ、ビン類のラベル、壁紙、タペストリー、照明、賞状用紙といった具合だ。
とくに近年はホテルや店舗などの装飾に用いる例が増えており、谷口さんの工房でも一辺が3メートルという大きなものを作って対応している。
和紙で作る壁紙は、一般的なものと違い身体にもやさしく、黄ばんでくるよりむしろ徐々に白くなる特性がある。また和紙が呼吸する為、部屋の湿度を調節してくれる効果もある。
工房に隣接する谷口さんの自宅の壁や天井はすべて和紙でつくっているが、実験の為に貼り方や糊の種類を変えているものの、建築から8年以上がたつものの経年劣化は確認できず、むしろ味わいがでてきたという。谷口さんは今後内装業者などに建設資材として和紙の使用を積極的に売り込みたいとしている。
またかねてより人気が高い和紙を用いた照明器具では、継ぎ目が無い立体和紙を使った商品の生産を始めた。天井からぶら下げても、台の上に置いても暗闇に明るい立体の照明が浮き上がるように見えて、落ち着いた中にもモダンなアート感覚を味わうことができる。このほか円柱型照明は、照明を包むプラスチックの円柱の筒に、春は桜、秋は紅葉など季節の風景を描いた和紙を張り替えることで、その時節にあった雰囲気を醸し出す。

作り置きしてある商品を除けば基本的に注文に応じて手作りで生産している。家の新築などに際して細かな相談にわざわざ遠くから訪ねてくる人も多い。
「他にはない「梶」の特性を生かすことで、強度を伴う和紙の加工が可能であることをもっと知ってもらうように努めたい」と6代目の谷口さんは抱負を語る。
若い感性で新たな和紙のニーズを発掘したい。
物静かな語りのなかに決意が感じられた。

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